[Review] Easel “温故知新”

温故知新Release Date: 2013/10/23
Label: 回想レコーズ (Kaisou Records)

bandcamp / Amazon

東京のメロディックパンクバンドEaselの新作EP”温故知新”が満を持してリリースされた。リリースはメンバーがDIYで運営するレーベル、回想レコーズから。2012年の夏を最後に活動休止していたバンドだが、しっかりと充電期間をおいて舞い戻ってきた後にリリースする作品ということで、バンド側としても大きな力を込めた作品だろうし、リスナーとしても待ってましたといった作品であろう。

暖かみのある音とメロディーが持ち味のメロディックパンクバンドというイメージが強いが、1曲目の”染まりゆく継承”を聞くことで、バンドのルーツにあるメロディックハードコアを感じることができる。多大な影響を受けているであろうPaint It BlackやLifetime、さらにはGorilla Biscuitsなどのハードコアバンドからの影響が感じられるパワフルに疾走するメロディックハードコア。まさに「温故知新」といった形で、メロディックハードコアのかっこよさに改めて気付かされる。

そしてタイトルトラックの”温故知新”。こちらはメロディーや曲調からだけでなく、歌詞からも音楽のルーツに対する熱い思いが感じられる。単純に音楽のルーツという意味だけで書かれた薄っぺらい歌詞ではないと思うが、メロディックハードコアをルーツに持つバンドが歌う歌詞だけに、説得力がハンパじゃない。バンドの持ち味である日本語詞に込められたパワーがストレートに伝わってくる曲になっている。

さらに、#4″底知れた感情も底知れぬ変貌へ”のイントロのギターリフは、最近のモダンポップパンクと呼ばれるようなバンドへも繋がるような一面があることも紹介しないわけにはいかない。しっかりと「温故知新」しながら、そういったルーツを持った新しいバンドやその要素はしっかりとチェックし、それを取り入れているのも、Easelがカッコいいバンドであり続ける理由だろう。実際、ライブを行う際も若手バンドがラインナップに多く並ぶショウに積極的に参加しており、ただ昔を回顧するのではなく、今という時をまっすぐ突き進むパンクなアティチュードにはただただ頭が下がる。

自主リリースという形ながらAmazonやTower Recordsといったオンラインショップでも音源が手に入るよう流通に力を入れているし、CDという形で音源をリリースしながらbandcampではEPが全曲ストリーミング再生できるようになっている。利益などを度外視でこういった試みをしている、音も姿勢もカッコいいバンドの音源が、どうか多くの人の元に届くようにと願うばかりである。

6曲あっという間に駆け抜けて、知らないうちにもう一度最初から再生してしまう。そして気づいたころには6曲全部が頭から離れない。そういったパワーと中毒性を持ったEPです。

written by  3104punx

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