[Review] Against Me! “Transgender Dysphoria Blues”

Transgender Dysphoria BluesRelease Date: 2013/01/21
Label: Total Treble Music / Xtra Mile Recordings

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1990年代から活躍するベテランパンクロックバンドAgainst Me!の約4年ぶりとなるフルアルバム“Transgender Dysphoria Blues”。安定感のある骨太のロックサウンドが詰め込まれた名盤に仕上がっていて、「このバンドはやっぱり間違いないな」という声が、聴いていて思わず漏れ出してしまう。

前作”White Crosses”をリリースした2010年から、バンドとしてはかなりいろんな部分で変化している。大きいのは何といっても、バンドを引っ張るリーダーであり続けたリードボーカルのTomが、自身のトランスジェンダーを公表し、Lauraという女性として生きていくと決めたということ。ただ、声を聴いてもらえれば分かるように、Against Me!のリードボーカリストとしての声は何一つ変わっておらず、性転換についてはバンドサウンドに何の影響も及ぼしていない。また、White Crossesリリース時にはメンバーだったHot Water MusicのGeorge Rebeloが脱退しているが、代わりにRocket from the CryptやAngels & Airwaves、最近ではSocial Distortionでの活躍でも知られるAtomが叩いており、こちらも全く問題ない。

そんな何の問題もないAgainst Me!から出てくるサウンドは、やっぱり間違いない。パンクロックバンドとはいうものの、鳴らしている音楽は自分たちのルーツであるロックやブルースを含めたものであり、ストレートながら奥深く、それでいてキャッチーである。こういった音楽が多くの人に受け入れられるのは至極当然であり、このアルバムをキッカケにさらにファンベースを拡大していくだろうことに何の疑問も感じない。

15年以上のキャリアを誇るバンドの曲を、他のバンドと比較して紹介するのは野暮かもしれないが、そうやって紹介したくなるほどこのアルバムの曲調は幅広い。イントロのHey!という掛け声が印象的なオープニングナンバーTransgender Dysphoria Bluesからは、The Bouncing Soulsのような匂いがするし、ルーツロックを感じさせる”Unconditional Love” は、最近のGreen Dayの曲のようなキャッチーさ。

そして”True Trans Soul Rebel”、”FUCKMYLIFE666″といった、Against Me!らしさが全開の曲がアルバムにいいバランスで散りばめられている。10曲入りながら30分を切る収録曲時間ということもあって、気付けばさらっと聞き終わってしまう作品で、収録されている音質がクリアなのも聴いていて心地がいい。全てのパンクロックファンに一度は聞いて欲しいアルバムである。

written by 3104punx

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