[Review] Marietta “Summer Death”

mariettaRelease Date: 2013/10/21
Label: None

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フィラデルフィアのエモバンドMariettaのEP『Summer Death』が10月21日リリースされた。

Mariettaは2011年に結成されたばかりの新人バンドであるが、新人であるからと言って侮ることはできない。“清涼系”と呼ばれるような爽快感、きらきら感がありながらマスロックのような要素も持ち合わせているのだ。だが、マスロックには計算されたかっこよさがある一方で親近感に少し欠けている。

しかし、このバンドはあたたかく親近感があり、そういった心配がない。そのようなところからただ様々なバンドの要素を取り入れてるだけではなくこのバンドの“らしさ”をなくさないようにどの曲も作られていることがわかる。

『…so they left me at a gas station』では跳ねるような軽さと音の厚みを兼ね備えたドラムに意志の強さを感じ、これだけでも満足してしまうのだが、You blew it!を思わせるようなテクニカルなギターサウンドは弱々しくも、心地がいい。そして、どこからともなくいろんな所から発せられる声は“歌っている”というより“叫んでいる”に近い。まるで“ただ楽しくなってきたから叫んでみた”といったようなフリーダム加減。

そして2曲目の『cinco de mayo shit show』では始まった途端間奏なしにいきなりシンガロングの嵐。初めて聴いた人なら必ず、何事?!と思わず手を止めてしまうはず。終始そんな状態が続き、聴いてる私たちが感じる気持ちよさといったら、他のバンドでは得ることはできない。“これはライブになったらもっと大変なことになる”と誰もが思うことだろう。
『deck wine』では前までの弱々しさから一転、哀愁を漂わせながらもクールかつ乾いたギターサウンドへと変わる。曲の中盤に入っていくと、ボーカルがひとりだったのがふたりに増え、最後には全員でシンガロング。曲が進むにつれ、さまざまな一面を一曲で見せてくれる曲となっている。

Into it.Over it.やYou blew it!のようでもあり、annabelのような要素もあるMarietta。だが、どれも似ているようで似ていない。新人でありながら既に彼らは“彼らの色”を持ち始めた。これから彼らの音楽がどうなっていくのかが楽しみだ。

(Written by 北村奈都樹 [Twitter])

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