[Review] Empire! Empire! (I Was A Lonely Estate) / Malegoat split

empire! empire! (i was a lonely estate) Malegoat

Release Date : 2013/10
Label : Count Your Lucky Stars Records

Facebook: E!E! / malegoat

エモリバイバルバンドの筆頭格、Empire!Empire!(I Was a LonelyEstate)。今までにはFootball, Etc.、 Into It. Over It. 、AnnabelやRika など様々なバンドとスプリットを出していたが、今回一緒にスプリットを出すのは、Malegoatだ。

Malegoatは八王子を拠点とし、Algernon Cadwallder,You Blew It!を思わせるような繊細かつ男臭いメロディーでありながら、ところどころに『邦ロックらしさ』を感じ、ただ影響を受けているだけではなく、オリジナリティも兼ね備えている。Algernon Cadwallderとのアメリカツアーを行い、日本だけではなくアメリカでも注目を集めているバンドである。

今回のスプリットでは、Empire! Empire!のゆるやかなあたたかみのあるメロディーはさることながら、今回はさらに渋さが増したように思える。特に印象に残っているのは2曲目の 『You Promised You’d Stay Here With Me』。この曲ではボーカルKeithの優しくも哀愁がある歌声に、繰り返されるギターフレーズ。そのなかで、悲しみ、切なさ、寂しさという複雑な感情がゆっくりでありながらどんどん曲の中に入り混じっていく。

しかし、それを最後に放出させるわけではなく、その感情を抑え込ませるように曲は終わりを迎える。曲の中に入り混じっていった様々な感情を私達にすべて残していくのだ。だが、それも不思議と嫌ではない。むしろ、“もう1回聴きたい”という気持ちになっている。シンプルな曲でありながら聴く側をここまでの気持ちにさせるのはさすがとしか言いようがない。

一方、そんなEmpire!Empire!とは対照的に爽快で、疾走感のあるサウンドから始まるMalegoatの『Call Down』。前奏からすでに気持ちを持っていかれているのだが、疾走感を落とすことなく、次々に出される、胸を打つような唄心溢れるギターフレーズの数々。そして、このギターサウンドを邪魔することなく、しかし存在感のあるリズム隊。そして男臭く、声に青春すら感じるボーカル。

これらがすべて揃ってできる音楽というのはここまで気持ちがいいのか。頭の中で『?!』が消えず、かっこよさに驚きが隠せない。聴き終わってもなお、気持ちよさが残り、リピーターが多数でることは間違いないだろう。

両バンドとも色は違うが、どちらもその色のよさがでていて、全く引けを取らない。まだ両バンドとも聴いたことがない、静かな曲が続くのが苦手という人でも飽きず聴くことができるスプリットになっているはずだ。

(Written by 北村奈都樹 [Twitter])

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