北海道出身のバンドNOT WONK。彼らは平均年齢19歳にも関わらず、ライブでは圧倒的な貫禄を魅せ観客を魅了して続けている。そんな彼らは5月20日に1stアルバム『Laughing Nerds And A Wallflower』を、元銀杏BOYZの安孫子真哉がチーフ・プロデューサーを務めるKiliKiliVillaからリリースする。この世代だからこそ生まれる、空虚さや青さのあるアルバムは、堂々とした貫禄のあるライブとはまた違うNOT WONK見ることができるだろう。今NOT WONKは何を感じているのか、ライブと音源での取り組み方の違いは何なのか。今回NOT WONKの加藤(gt.vo)にインタビューをした。
(Interview by 北村奈都樹)
-今回のアルバムはこれまでにリリースされたデモに収録されていた曲も入っていますが、ベストアルバムのような感覚で作られたんですか?
最初はそんなに曲を入れる予定じゃなかったのですが、エンジニアやってくれてた方が昔スーパーカーやっていた人だったんです。それで、スーパーカーのファーストが19曲だったので、もっと曲を入れようかってなって、再録したんですけど、それでも15曲だったので、新たに2曲作りました。
-そうなんですね。今回のタイミングでなぜアルバムを作ることになったんですか?
デモCDとか作ったりI Hate Smoke Records(以下I Hate)からカセットを出した時も、最初は新曲2曲入れたシングルで作ることにしてたんですけど、どうせだからデモの曲も入れようかってなって、入れたんです。でも、テープ出す前から、そろそろちゃんとした音源出したいなって思っていて。そしたら、生き埋めV.Aに誘ってもらって、それを安孫子さんが聞いてくれてて、安孫子さんからメールが来て。去年の9月に早稲田ZONE-Bで生き埋めV.Aのレコ発があったんですけど、そこに安孫子さんが来てくださっていて、「アルバム出しませんか?」と声をかけてくださって、アルバムを出すことになりました。
-去年は生き埋めレコーズ、I Hate、今年はKiliKiliVillaから声をかけられたりと、NOT WONKは最近特に注目されてますよね!
そうですね。すごい環境が変わりましたね。
-NOT WONKは結成してから4年が経ちますが、結成当時はよくライブはされてたんですか?
地元の苫小牧でライブはしてました。そのときはお客さんも全然いなくて。しかも、今とメンバーも全然違くて、ゴロゴロ変わりましたね。今のメンバーは10人目くらいなんです。オリジナルメンバーは僕だけですね。
-けど、NOT WONKは解散しなかったんですか?
結局始めた時も僕がやりたくて始めて、メンバー変わっても、僕はバンドやりたいから解散する必要ないかなって。
-解散するってなるときはどんなときですか?
予想もしたことないんですけど、俺がバンドやりたくなくなったらですかね。けど、自分がバンドやりたくないっていうのが想像できないので。
-そうですよね。しかも、NOT WONKを最近聴いてる方って私を含めてかなり増えてる印象です。
そうなんですよね。もうめちゃくちゃ嬉しくて!
-NOT WONKのライブを実際に見た知り合いと話していたのですが、音源とライブではかなり変わりますよね。音源では青さがあるけれど、ライブはかなり貫禄があって、渋いですよね。
そうですか。(笑)レコーディングのときはラフにゆるくやることが多いので、意識して演出とかはしてないです。歌を歌うときは歌詞の雰囲気が伝わればいいなって思って歌うことはあるんですけど…。ライブはめちゃくちゃ気合入ってると思います。北村さんが見たライブは2月15日だと思うんですけど、その前にやったライブが、KiliKiliVillaのイベントだったんですよね。レーベルのイベントだし、当時気合い入ってて。がっつりやってやろうと思って演奏したらアンプ壊れてて、ギターが音出なくなったりして。そのときめちゃくちゃ腹立って、本当に悔しくて。2月15日のライブは、そのリベンジでもあったんです。その日のためにPAも苫小牧からきていただいて、完璧にやろう!と思ってて。そういうのが、北村さんに伝わったのかもしれないですね。
-そうだったんですね。確かに勢いも気合も感じました。そして、何よりもライブに安定感もありますよね。レコーディングをしてるときはゆるく作ってるとのことですが、それは演奏に関しても、ということですか?
演奏を上手くしたりとかそういうのよりも、あんまり気負ってやってもしょうがないんじゃないのかなって思っていて。レコーディングのときはゲラゲラ笑ったり、悪ふざけしたりして、「ここ打ち込みにしてみよう」って試してそのまま音源にしちゃったり。
-「Never Dye It Blonde」でも、シンセサイザーが入ってますよね。NOT WONKとしてはシンセサイザーを取り入れた曲って珍しいですよね。
僕WEEZERが「Buddy Horry」めっちゃすきで、シンセは「Buddy Horry」の一節を使ってるんです。元々ギターのフレーズだけ使ってたんですけど、「シンセ被せたらもっといいんじゃん」って悪ノリで被せたら、良かったのでそのまま使いました。
-ライブで「Ooh, Fuck Off The Senior!」を演奏する際に、「テキトーなことばっかり言ってる年上が割と嫌いで、そいつらは引っ込んでろって歌です」とおっしゃっていたのを聞きました。けど、曲自体は激しいサウンドだったり、シャウトを入れたりするのではなく、女性コーラスを入れたりして爽やかで、メロディ自体も落ち着いてますよね。
そうですね。わかりやすい曲を作ったりするのが得意じゃなくて、サビが最初に決まったり、歌詞が一番最後に決まったりして。「Ooh, Fuck Off The Senior!」に関しては僕と同じことを考えてる人っているんじゃないのかなって思って。だったら男と女両方いた方が説得力が増すかなって思って。コーラスをやってくれた子が僕の後輩で、「Laughing Nerds And A WallFlower」のMVに出てる女の子なんです。自分の高校生のときの卒業ライブで向井秀徳のコピーバンドやっていたのを見て、めっちゃ歌上手いなと思って、コーラスに誘わせていただきました。
-ちなみに今回のアルバムタイトルにもなってる「Laughing Nerds And A Wallflower」 の「Wallflower」というのは、加藤さんが以前から好きだと公言しているMega City Fourの「Wallflower」からきてるんですか?
それもあるんですけど、Wallflowerの言葉の意味がめちゃくちゃ好きで。パーティの隅っこに1人でいるやつって意味があるみたいなんです。この曲は、退屈だなってことを歌ってるんですけど、俺はつまるところ、こういうことしか歌ってないよなって思って。今回、アルバムタイトルにもしました。
-そうなんですね。確かに、NOT WONKは全体的に寂しげな曲が多い印象です。そういった寂しげな歌詞は何かに影響受けたりしましたか?
歌詞の意味とか重要だなと思うんですけど、歌った時の語感も大事だなあっと思っていて。なので、語感と意味とタイトルがうまくリンクするように歌詞も考えています。なので、あんまり影響を受けたりとかはしてないです。USインディーのバンドって歌詞がめっちゃ明るいですよね。週末毎回パーティしてるみたいな。(笑)曲は好きなんですけど、そういうの(自分が)歌っても、パーティしてないしなってところで。敢えてではないんですけど、それとは反対のことを歌ってます。
-明るい曲を書きたくなるときはないということですか?
そうですね。明るい歌詞って思いつかないですね。普段から明るいことを考えてないからだと思うんですけど。(笑) 曲を作るときに、何か特定のイベントの思い出を意識して作ることってなくて。曲が先にでてくるので、そのときハマってるバンドをずっと聴いてて、こんな曲作ってみたいと思ってギター弾いてるうちにできたりしますね。
-歌詞は英語のものが多いですが、日本語の曲を作ろうと思ったことはありますか?
バンド始めてから日本語の歌詞を書いたことなくて、日本語の曲には日本語の曲にしかないメロディってあると思うんですけど、それって僕にはできないなって思っていて。周りに「日本語の曲作ってよ!」ってたまに言ってもらったりするのですが、「作らないから!」って言ってます。(笑)
-確かに音源を聴いてると海外バンドらしさがありますけど、ライブを見てると日本らしさがありますよね。北海道出身のバンドに影響受けたりしましたか?
それは嬉しいですね!なよなよはしてたくないので。ブッチャーズの吉村さんも、イースタンユースの吉野さんも男らしくてかっこいいなと思います。
-北海道で活躍されてるバンドで影響受けてるバンドはいますか?
KiliKiliVillaの今回のコンピ(「While We’re Dead.: The First Year」)にも入っているTHE SLEEPING AIDES & RAZORBLADES(以下SLEEPING)ってバンドですね。僕の目標といったら変な感じになるんですけど…めっちゃいい曲も作ってて、かっこいいバンドもたくさん知ってて。特にボーカルの白浜くんには、バンド始めてからずっと影響受けてますね。
-加藤さんの憧れですか?
バンド始める前は、白浜くんの(当時組んでいた)バンドのライブをよく見に行っていて、最初は憧れの存在だったんです。でもバンドやるようになって、よくしてもらって…友達でもないけど、先輩でもない距離感になりました。白浜くんと出会ってからいろんなバンドも聴くようになったので、僕の影響は全て白浜くんです。
-そうなんですね。話が変わりますが、NOT WONKはインディーでもパンクでもない、最近珍しいバンドですよね。何か意識されたりしてますか?
そうですね。単純なインディーバンドにはなりたくないなと思っていて。パンクが好きだからってパンクだけのバンドにもなりたくなくて。安孫子さんから声かけていただいた時も、KiliKiliVillaってパンクのレーベルだと思っていて、2週間ぐらい返事を待ってもらったんです。でも、安孫子さんに「インディーだけも、パンクだけもやりたくないです。」って伝えたら安孫子さんも全く同じ意見を持っていて、「じゃあ、バッチリだ!」って感じで(笑)。KiliKiliVillaからアルバムを出させていただくことにしました。
-安孫子さんはレーベルに関わるバンドと距離がとても近いですよね。NOT WONKのレコーディングにも参加して、よくレコーディング風景をツイートしてたりしていましたよね。
今回レコーディングをがっつりやらせてもらって、レーベルの大人の人たちってもっと怖いイメージだったんですけど、KiliKiliVillaはそんなことなくて。めちゃくちゃバンドのことを考えてくれて、一緒にダサくないものを作ろうって感じで。レーベルとバンドってよりはクルーって感じでした。
-今回のKiliKiliVillaのコンピもとても愛が詰まってますよね。
そうなんですよ。だから、その中にNOT WONKが入ってることも嬉しくて。ぜひ買って聴いていただきたいですね。7月には本州でのツアーもあるので、全員来て欲しいです。(笑)
[Live Info]東京
KiliKiliVilla presents
NOT WONK & over head kick girl アルバム発売記念 LIVE
会場:新代田FEVER
http://www.fever-popo.com
日時:7月18日(土)
open : 17:00
start : 17:30
前売2,000円、当日2,500円 ドリンク代別
問い合わせ:FEVER 03-6342-7899
出演
NOT WONK、over head kick girl、LINK、SEVENTEEN AGAiN、CAR10、THE FULL TEENZ
大阪
NOT WONK『Laughing Nerds And A Wallflower』リリース・ツアー
会場:心斎橋PANGEA
http://livepangea.com
日時:7月19日(日)
open : 17:00
start : 17:30
前売2,000円、当日2,500円 ドリンク代別
問い合わせ:PANGEA 06-4708-0061
出演
NOT WONK、LINK、CAR10、THE FULL TEENZ
and more
名古屋
NOT WONK『Laughing Nerds And A Wallflower』リリース・ツアー
会場:池下CLUB UPSET
http://www.club-upset.com/top.htm
日時:7月20日(祝)
open : 17:00
start : 17:30
前売2,000円、当日2,500円 ドリンク代別
問い合わせ:CLUB UPSET 052-763-5439
出演
NOT WONK、LINK、CAR10、THE FULL TEENZ
and more