今回は、イギリス・シェフィールドのドゥーム/スラッジバンド、Kurokumaのドラム、Joe E. Allenにインタビューを行いました。このサイトではあまり扱わない音楽性のバンドですが、彼はかつて2年半にわたって日本に住んでいて、その縁で今回インタビューを行うことになりました。
今月、カナダのMedusa Crush Recordsから1st EP”Advorsus”がリリースされたばかり。すべて日本語でやりとりした、海外バンドにしては珍しいインタビューを読んでみてください。
(Interview by 3104punx)
よろしくお願いします! まずは、簡単なバンドの紹介をお願いします。
Kurokumaは、簡単に言うと、3ピースのスラッジメタルバンドになるのかな。スラッジって言うのはBlack Sabbathが生み出した、ドゥームメタルにハードコアのエネルギーを追加したジャンルです。
ギターのJakeとKurokumaを組んだときに、一緒によくキマってハイになっていて、それでストーナーっぽいバンドもしたかったんです。だから、緩いグルーヴもけっこう入っていると思います。
俺は日本に住んだことがあったり、Jakeはトルコ出身だったり、ベーシストのGeorgeはルーマニア人だったりで、多国籍なバンドでもあるから、エキゾチックな楽器やリズムをスラッジの重厚さに加えるように意識しています。
Joeさんご自身の経歴はどんな感じですか?
趣味は音楽。子供のときから色々なバンドに入ってました。ホームタウンはイギリスのシェフィールドで、若い頃からハードコアのライブにたくさん行って、自分もクラブとパブでライブを主宰してました。
シェフィールド大学に入って日本語を専攻して、3年生のとき神戸に留学しました。実は日本に興味が湧いたキッカケの一つは、Mad Capsule Marketsっていうバンドでした。彼らはジャンルのルールを全然気にしないで、洋楽にはない音の組み合わせを作ってたので、大好きでした。
神戸大学では軽音サークルに入って、Maximum the HormoneとB’zのコピーバンドに、二つともドラマーとして参加したんですが、とてもいい経験でした。そのあと、青森市と大阪市にも住んで、トータルで2年間半日本にいました。
青森でねぶた祭に参加して太鼓もちょっと叩いて、すごくいい経験をしました。青森県でくろくま滝も見られて、そこからバンドの名前を付けたんです。
Kurokumaは結成何年目ですか?
俺とJakeと前のベースで、2013年の終わりぐらい作曲したり練習したりし始めたんですけど、2014年の5月頃に、そのベーシストがデンマークに引っ越してしまって、そこから新しいベーシストを探しました。ネットでGeorgeを見つけて、今のメンバーで2014年の夏にライブをし始めました。
音楽性で影響を受けたバンドだったり、目指している方向性が似ているバンドはいますか?
ConvergeやNeurosisなどのアーティスティックなメタルを目指していると言ってもいいかもしれませんが、個人的に1番影響を受けたのは、リバプールのドゥームバンド、Conanでしょう。去年、Conanのライブで前座として演奏できて光栄でした。
GeorgeはCrack the Skyeのジャケ写のタトゥーを右腕に入れているほどMastodonの大ファンで、いつもMastodonっぽいベースラインを作曲してます。
でもメタルの新しい面を表したいので、他のジャンルからも影響を受けていると思います。全員ハードコアテクノをよく聞いてます。Headless HorsemanやUgandan Methodsとか。それに、洋楽で聞かない神秘的なリズムをKurokumaの音楽に入れたくて、みんなラテンアメリカのエレクトロにもはまってます。
今までにどのようなバンドと共演したり、どのようなイベントに出てきましたか?
北イギリスの他のドゥームバンドやスラッジバンドと共演することが多いですね。ドゥームは今ちょっとしたブームが来ているので、フェスがかなり多くて、そういうイベントで演奏するのが好きです。マンチェスター、リーズとかでよくライブをしてます。
Conan、Skeletonwitch、KEN modeなど、 大きいメタルバンドがシェフィールドに来たらよく前座として演奏します。それに毎月Holy Spiderっていうチームで、ドゥームとスラッジのライブを個人的に開催してます。Primitive Man、Opium Lord、Sea Bastardなどのライブを主催しました。
今月リリースされたEPについて質問です。今回の音源ははKurokumaとして何作目になりますか?
今回のリリースの前にデモを出していますが、正式な音源としては初めての音源ですね。
カナダのレーベルからカセットでリリースということですが、どういった経緯でリリースに至りましたか?
はい、カナダのMedusa Crush RecordsというDIYなメタルレーベルからリリースになりました。
今年Holy Spider(Joeの主催するイベント)はSealclubberというクラストパンク/スラッジバンドのライブを開催して、Sealclubberを通して初めてMedusa Crushを知りました。
彼らはデビューアルバムをMedusa Crushでリリースしていて、レーベルのことをとても勧めてくれたので、メールをレーベルのボスに送りました。すると、Kurokumaのデモを気に入ってくれて、話が進んだんです。
今作は、Kurokumaというバンドを世の中の人に知ってもらうため、という位置付けの音源でしょうか?それともバンドとして、攻めた新しい要素を打ち出した音源になるんでしょうか?音源で表現したかったことを中心にお話し聞かせてください!
両方ですかね。ライブと音源とでリスナーに別の魅力を知って欲しくて。もちろん、1番いいのは音楽を聞いて理解してもらうことですが、言葉でも表現するようにしています。
Kurokumaのサウンドは3人を通して自然に流れ出ます。自分たちの性格の延長線上にあるものか、俺たちじゃないところから来るものなのかはよく分かりませんが、最高のパフォーマンスを発揮しようと、いろいろ努力して音楽を作っています。
たまに他のバンドを聞いていたら、何か妥協したなっていう感じることもありますが、Kurokumaは妥協するつもりはありません。このEPのタイトルは「Advorsus」で「〜に対して」という意味を表すラテンの言葉です。色々なことに対して音楽を作っていますが、特にそういう妥協は絶対しないという強い思いで作っていますね。
新しいEPのリリースショウやリリース後のツアーの予定はありますか?
はい。リリースショウは、シェフィールドのライブハウスで9/17に行いました。
ツアーは、10/12から16まで、Underというバンドと一緒に何箇所か回ります。今のところリバプール、バーミンガム、ロザラム、ノッティンガム、マンチェスターでライブをすることになっています。
日本のバンドで一緒にライブをやってみたいと思うバンドはいますか?
JakeはBoredomsが大好きで彼らと一緒にライブをやってみたいと思うでしょう。ドゥームバンドだったらBorisといつかライブができたらうれしいです。サイケデリックなバンドだったらAcid Mothers TempleとBo Ningenがいいなぁと。
あと、まだ活動していたら、Mad Capsule Marketsとやってみたいなと思います。ファンなので!