[Disk Review] Prawn ”Kingfisher”

kingfisher Release Date: 2014/08/12
Label: Topshelf Records
Hometown: Ridgewood, NJ/Hawthorne, NY

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幻想的かつ繊細なギターに、鉄琴、管楽器を加えた壮麗なサウンドで、非現実的な世界観を作り出すPrawn。1stEP『SHIPS』ではそのサウンド面だけでなく、熱量の込められたボーカルで多くのリスナーを魅了した。そして、約9か月前にリリースされたJoie De Vireとのスプリットでは、熱量は抑えめではあったものの、繊細さを極めた落着きのある演奏でサウンド面により磨きをかけていた。そんな彼らがさらに質を高め、完成させたのが本作と言えるだろう。本作ではサウンド面の美しさを保ちつつ、これまでで最も感情的で熱量のある演奏となっている。けれども、それは決して暑苦しいわけではない。聴いていてちょうどいい温度で聴き手に届けてくれるのだ。

彼らの世界に迎え入れられてるような、勢いのあるトランペットから始まる「Thalassa」。この曲では、エモーショナルなボーカルとタイトで重々しいドラムに、ポップでキャッチ―なメロディー、透明感ある女性コーラスがさわやかな印象を与え、うまく調和している。それから「Runner’s Body」では悲壮感漂うメロディアスなギターリフが新鮮。浮遊感あるギターの掛け合いでは、悲しくも美しい世界観を生み出している。そしてギターを歪ませ、掻き鳴らしていくラストには、彼らの激情のようなものも見えてくるのだ。続く、「Halcyon Days」では、メンバーの熱く訴えるようなシンガロングに胸を打たれた。そして、そのなかに幻想的なギター、余韻を残していくベース、ときにはバイオリンが入ることで、幻想的なだけでなく、壮大さが増している。

感情的で熱量のある演奏は、聴き手を感情移入させやすい。しかしそれは、彼ら特融のサウンドを潰してしまうように思えた。けれどもそんな心配はいらなかった。きっと彼らは、その熱量に負けない、幻想的で壮麗なサウンド作りにより励んでいたのではないかと思う。だからこそ、エモーショナルなボーカルが乗っても、ギターを掻き鳴らしても、彼らの世界観は消えずに残っている。そしてそれは、聴き手にとって聴きやすく、ときに感情を揺さぶられる作品となったのだ。

けれども、それは決して容易なことではなかったはずだ。きっと、並々ならぬ努力をし、いくつもの挫折があっただろう。そうして完成した本作は、インディーロック、エモ、パンクといった様々な音楽好きが頷ける作品となっているはずだ。

(Written by 北村奈都樹 [Twitter])

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