[Disk Review] Man Overboard ”Passing Ends”

passing endsRelease Date: 2014/10/28
Label: Lost Tape Collective/ICE GRILL$ Records
Hometown: New Jersey

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「あの頃のMan Overboardが帰ってきた」、それが自分にとってのファーストインプレッション。10/28に自主レーベルLost Tape Collective、そして日本のICE GRILL$ Recordsから同時リリースされる5曲入りEP”Passing Ends”は、まさに原点回帰とでもいうべき、MOBというバンドのルーツにある魅力が存分に出た作品に仕上がっている。

何といっても特筆すべきは、全収録曲の5曲中、別バージョンによる再録も含めた実に4曲が、アコースティックを基調とした楽曲だということだろう。「Defend Pop Punk」を掲げ、その言葉とともに知名度を高めていった彼らだが、バンドをスタートさせた頃は、”Punk”の荒々しさよりも、”Emo”といえるような柔らかさや物悲しさを漂わせていたのが、Man Overboardというバンドだった。初期音源を集めたコンピレーションアルバム”Before We Met”(ライブのラスト曲として定番になっている”Love Your Friends, Die Laughing”のオリジナルバージョン収録)や、名曲”Cry Baby”で始まるEP”Noise From Upstairs”は、今作と同じくアコースティック中心の音源なのだ。

リリースに先駆けて音源を限定公開したBillboardのページには、その記事のタイトルに「Man Overboard Goes Acoustic」と書かれているが、バンドには、今回の音源を作るに際して意図的にアコースティック路線に舵を切ったという思いは無いだろう。というのも、バンドのボーカルを務めるNikとギターのWayneがスタジオに入ってアコースティックで曲を作っていくのがMan Overboardのスタイルだからだ。だから、そうやって日々作られていく曲の中から5曲が選ばれ、バンドの今を表現する自然な作品として出来上がったのが、”Passing Ends”なのだろう。

冒頭で「あの頃のMan Overboardが帰ってきた」と書いたが、それはあくまでもアコースティックを基調としたサウンドを聞いたときの第一印象。歌詞に注目すると、メンバーの生活における変化による影響がうかがえ知れる。愛についての酸い甘いをポップでちょっぴり悲しいメロディーに乗せて歌う印象の強いバンドだが、今作ではかなり”悲しみ”の面が色濃く出ている。そこにはシンガーでありソングライターであるNikの父の死が影響していることは間違いない。その時期にスタジオで過ごすのは本当に孤独だったとインタビューの中で語っているし、歌詞にもその時の気持ちが確実に表れている。

温かく染み込んでくるような優しさを持った音ながら、聴いていると心の奥底をざわざわと掻き立てる、そんな物悲しさを秘めた曲が並んだ今作。悲しみをはね避けようとして無理に取り繕うのではなく、ストレートに寂しい気持ちを吐露した歌詞が、キャッチーかつ深みのある曲に乗って届いて、心を打つ。だんだんと寒くなっていくこれからの季節感と相まって聴けば聴くほど音が心に染み渡っていく、そんな作品になりそうな予感がしてる。

 

ICE GRILL$ Recordsからリリースされる国内盤には、今年の6月にBostonで行われたライブ音源17曲がボーナストラックとして収録。本編5曲を聞いてちょっぴり切なくなった気持ちも、エネルギッシュなライブ音源を聞くと一気に高ぶること間違いなし。来年2015年にはRise Recordsからフルアルバムのリリースも予定されており、アルバムリリースに向けて期待も高まります。

(Written by 3104punx [Twitter])

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